記事(一部抜粋):1999年12月掲載

ベルダレポート

「将来より今が大事」経済無策の恐るべきツケ

世界史上かつてない平時における異常な戦費調達

 西暦2000年まで残りわずか1ヶ月あまりとなったこの日本で今、何が起きているのか。小渕3党連立政権が繰り出す総選挙対策としての小手先の経済運営に欺瞞されて、仮初めの経済プラス成長に幻惑された国民の目からは、日本経済に起きている現実が見えにくくなっている。
 この間、政府は公共投資を拡大し減税も行った。銀行には公的資金を、大企業には政府系金融機関が貸し出しを、中小企業には信用保証協会を通じて銀行が貸し出しを流し、不動産・CPも買い込んでいる。つまり、国のカネで経済を必死に支えているのだ。
 少なくとも2つの点において、今日の日本は先進国としては歴史上経験のない異常事態に包まれていることは、紛れもない事実である。
 第1に、昭和恐慌時に匹敵する金融の極端な緩和策を4年も続けていることだ。1995年9月より公定歩合は歴史的超低金利0.5%に張り付いたまま、短期金利は名目ゼロ、量的緩和で市場にはカネがジャブジャブ流れ込んでいる。この超低金利政策が長期間続いた例としては17世紀のジェノバで採られて以来で、「世界史上かつて経験したことのない異常事態」なのだ。にもかかわらず、所得移転で潤うはずの銀行の経営健全化は遅々として進まず、自律的な経済成長が見込めない厳しさが続いている。

 

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