記事(一部抜粋):1999年11月掲載

社会・文化

四国電力「鉄塔倒壊事件」の深い闇

電力会社に食い込んだ土建業者の「後見人」

 茨城県東海村の核燃料加工会社の臨界事故、福井県珠洲町の原発用地買収をめぐる関西電力の名義隠しなど、ここにきて電力会社の経営にまつわる問題が相次いで表面化している。そんな中、昨年2月に起きた四国電力の「鉄塔倒壊事件」が改めて関係者の注目を集めている。鉄塔を支えるボルトが何者かによって外され、高さ73メートルの鉄塔が倒されたという異様な事件。いまだ犯人は逮捕されておらず、真相は謎に包まれたままだが、電力会社を取り巻く利権構造の奥深さを垣間見せるという意味で、実に興味深い事件なのである。
 瀬戸大橋を一望できる香川県坂出市の聖通寺山。その頂上付近の北側斜面で事件は起きた。四国電力の特別高圧送電線鉄塔、高さ73メートルの巨大な鉄の塊が昨年2月20日午後1時20分ごろ、なんの前触れもなく根元から倒壊したのである。切れた送電線は、眼下を走る瀬戸大橋(瀬戸中央自動車道)に、それこそぶちまけた蕎麦の如くしなだれかかり、瀬戸大橋はもちろん全面通行止め、坂出市、丸亀市、宇多津町の約1万7千戸が停電し、周辺の工業地帯が稼働停止を余儀なくされるなど甚大な被害をもたらした。 

 

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