記事(一部抜粋):1999年10月掲載

連 載

【検証2】メディアの新世紀 TBSの展望なき漂流

地盤沈下に悩む「かつての民放の雄」

 テレビ局、それはわずか数年前まで「メディアの覇者」であった。なかでもTBS(東京放送)は「民放の雄」として君臨していた。
  TBSを、その座に押し上げたのは報道部門である。「報道のTBS」を標榜し、テレビの速報性、映像の迫力を武器に新聞報道を凌駕する勢いを見せ、それを梃子にテレビの社会的地位を高め、質の良いスポンサーを確保することによって業容を拡大してきた。
  しかし今、その報道部門の崩壊現象によってTBSの社会的な信頼性は地に墜ちた。
  民放最大手のTBSが、報道部門の失態によって経営が揺らいでいるのは、実は決して偶然ではなく、起こした事件も偶発ではない。
 オウム事件への関与は、テレビが古くから抱えていた「報道機関としてのモラル意識が甘い」体質が噴出した、いわば従来型の問題が極端な形で噴出したケースである。しかし、痴漢報道局長や覗き見事件記者の登場は、TBS報道局に、従来にないモラル崩壊が起きている事実を物語っている。
 背景にあるのは、インターネットの脅威である。

 

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