記事(一部抜粋):1999年10月掲載

経 済

日銀「金融緩和」拒否のジレンマ

米・ドイツ対立で起きた87年「ブラックマンデー」の再来か

 9月21日の「日銀政策決定会合」の結果ほど、近年の日本銀行を巡って注目されたものはなかった。米国から金融緩和圧力の強風が打ちつける中で、どんな金融政策を打ち出すのか。大方の予想は「日銀が米国の要求を受け入れ、さらなる金融緩和、潤沢な資金供給に踏み切る」というものだった。
 ところが、結果は正反対。日銀は、一段の金融緩和に否定的な姿勢を鮮明にした。
「これ以上の金融緩和の効果は期待できない」と、同日夕刻に記者会見した速水優・日銀総裁は、米国の要求と、その威を借りた市場圧力を撥ねつけたのである。
 この日銀の決定に対するマスコミの評価は分かれた。日銀内に置かれている「金融記者クラブ」に属する記者たちは、担当者から事前にレクチャーを受け、下勉強して一斉に書き立てることが習慣化している。その結果、各社同じ内容の金太郎飴的な報道になりがちな中では、珍しい現象といっていい。裏返せば、今回は、記者たちに事前レクチャーの恩恵がなかったほど、日銀は切迫した事態の下で政策決定会合を開いたということだ。

 

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