記事(一部抜粋):1999年10月掲載

ベルダレポート

「株式交換制度」で勢いづく起業家たち

現金の代わりに自社株を使って他社の買収や持ち株会社の設立が可能になるという「株式交換制度」−。

活況のベンチャー株ブームに「第二の孫正義」不在の危うさ
 10月の改正商法の”目玉”といわれるこの制度の導入を、誰より心待ちにしているのは、日本の旧来型のメーンバンク制度に”異議”を唱えて離脱、株式市場での自由な制約のない資金調達で急成長を遂げている一群の新興企業だろう。
 株式の交換は、時価総額に基づいて進められる。買収する側の企業は、相手先の時価総額に見合った新株を発行し、その株を相手企業の株式と交換しなくてはならない。
 日本にベンチャー企業が根づかなかったのは、土地担保主義の銀行が、最も資金需要の旺盛な新興企業の創成期に支援することを恐れたためである。多くのベンチャー企業が、この頑な銀行の姿勢の前に資金ショートを起こして敗れ去っていった。
 株式交換制度は、銀行の”呪縛”からベンチャー企業が解き放たれることを意味する。制度を利用してベンチャー同士がアメーバのごとく自己増殖を繰り返すこともできるし、手元資金はなくとも株価の面では高い評価を受けているという新興企業が、企業買収でビジネスの幅を拡げる事もできる。
こ の制度の導入前に、銀行に頼らない「時価総額経営」に千鞭をつけたのはソフトバンクの孫正義社長だった。

 

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