記事(一部抜粋):1999年10月掲載

ベルダレポート

時代錯誤の「大艦巨砲主義」か、「日の丸」製造業の大再編

戦艦大和を「不沈」と信じた度し難い愚を反復するのか

 いったいどこに行こうというのか−戦中の統制経済を彷彿とさせる「産業再生法」の成立の下、重厚長大型の素材産業を中心に、「戦艦大和」型現象とも見える異様な業界再編成が進もうとしている。バブル不況から早く脱出して産業の再生を図ることは、いわばわが国の「国是」ともなっている。しかし、いま産業界の主流派が疾走している方角には”再生”は見当たらず、待ち受けているのは、ひょっとすると”ドカ貧”だけではないだろうか。世紀末の産業界は、旧体制リーダーの愚行に発する巨大なリスクに揺さぶられ始めている。
 このところ世界の産業界に大再編の嵐が吹き荒れている。化学、石油精製、紙パルプ、鉄鋼、非鉄金属などの素材産業は、国境を越えた合併・統合に向かい、企業規模の超大型化を推進している。市場経済の一角で競争条件に変化をもたらす異変が起きれば、市場の全体に波紋が広がり、異変は万波をよぶことになる。

 

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