放射能を海洋に撒き散らす放置原潜の危険な実態
西暦2000年を真近に控えて、ロシアの軍用コンピューターの2000年問題が取り沙汰されている。1990年代を通じて核軍備の縮小が続いてきたとはいえ、依然として総数が1万発近いと見られているロシアの核兵器が、誤警報の多発や誤発射指令で誤って発射されれば一大事だ。 しかし、ロシアの核管理をめぐっては、これ以外にも脅威がある。それは大規模な海洋核汚染の可能性で、その危機的実態は実は意外なくらい知られていない。 ロシアでは、東西冷戦が続いた80年代までに次々に建造された各種の原子力潜水艦が、90年代になって大量に除籍、解体され始めた。 しかし、大問題なのは、軍縮によってこれだけ多数の除籍、退役艦が出ているにもかかわらず、ソ連体制の崩壊に伴うロシアの財政危機のために、適切な解体処分がろくに進まず、数多くの使用済み原子炉と廃艦原潜が保管所や棧橋に放置されたままになっていることだ。
【記事一覧へ】