記事(一部抜粋):1999年8月掲載

国 際

「四面楚歌」に苦しむ金大中

総選挙を控えて地殻変動する韓国政治

 小渕首相の支持率が着実に上昇しており、それは右肩上がりの日本の株価と見事に軌を一にしている。ところが、隣の国・韓国では、日本とは逆の現象が見られる。
 金大中政権は、韓国史上初の与野党政権交代ということで世界の注目を浴びた。国際通貨基金(IMF)の管理体制下に置かれた危機的な経済をいかにして建て直すかという「朝鮮戦争以来最大の国難」を前に、金大統領の政治手腕が問われた。その成果は、政府部門、財閥、金融、労働市場を対象にした四大改革に取り組んだことにより、政権発足以来一年半にして顕著に表れた。国内総生産(GDP)が6%のマイナス成長になった昨年に対して、今年は年初予想をはるかに越え、5〜6%のプラス成長が見込めるという予想が出ている。韓国がこのように危機的状況から脱するようになったのだから、それを主導した金大統領に対する国民の支持率は上がって当然なのだが、現実はまったく逆。政権発足当時90%もあった支持率は徐々に低下し、現在はかろうじて50%を維持するという落ち込みなのだ。
 経済面では誰が見ても大統領が主導する経済政策が功を奏し、またそう評価されているにもかかわらず、国民の支持率が落ちているのはなぜだろうか。

 

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