ベルダレポート
政府が目論む究極の雇用対策「ソフトな微兵制」の衝撃
小渕政権の雇用政策は、二つの相反する顔を持っている。
一つの顔は、過剰雇用すなわち企業のヒト余り感をなくす「リストラ」(首切り)を事実上、奨励している。同時にもう一つの顔として、失業率の高まりから来る生活苦、消費減退、社会不安をやわらげようと新しい仕事を創りだす「雇用創出」に取り組まねばならない。
これはデフレ構造不況から脱出するための宿命といえるが、この二津背反を千載一隅の好機として”一石数鳥”の成果を狙う試みが、思いがけないところで秘かに進行している。「ソフトな新型の徴兵制」(自衛隊OB)の導入である。
徴兵制と言ってもこれは、後述するように「予備兵」に限ってのものなのだが、戦後54年間、安全保障が他人事だった日本国民には大きな衝撃となる新制度である。
日本的システムの大改変で、問われる「国益とは何か」
「国策」として捜査にあたった検察もまた、一枚岩となって大蔵省と金融界にメスを入れ、日本型システムを破棄しようとしたわけではない。
「検察には捜査現場派と法務官僚派の二つの流れがあり、ふだん官僚派は捜査に圧力を加えるというので分が悪い。ただ、今回の一連の捜査については、悪い大蔵官僚や悪い金融機関の経営者を逮捕するという発想ではなく、金融界の”腐敗の土壌”そのものをドブさらえするのが目的でした。それだけに「やりすぎじゃないか」という声が検察内部にあった。「接待汚職の摘発は失敗だった」と、はっきり明言する首脳すらいます」(検察関係者)
かつて検察は、腐敗のドブから飛び出す蚊やハエを退治する存在だったという。それがドブ掃除に乗り出したあたりから、「国益とは何か」という価値観をめぐって、「検察一体の原則」を誇る法務・検察にすら揺らぎを生じさせている。