十年前「NOと言える日本」を書いた石原慎太郎・東京都知事が公約の1つに横田基地返還を打ち出し、来年のサミット(先進国首脳会議)開催国である日本の小渕恵三首相が沖縄を会場に選んだ--この二つの政治的決断にワシントンはおどろくほど冷静であった。つきつめれば「日本の勝手」とも言わんばかりだ。 小渕首相が訪米する直前、ワシントンで筆者と議論したシンクタンク研究員の友人がはっきりこう言った。「唯一の超大国、米国にとって同盟国といえるような国などはない」 これは決して不遜なもの言いではない。自身が、「唯一の超大国」と化してしまった以上、既存の同盟関係はいやおうなく変質していかねばならない、と言っているのだ。この現実を実感したのが、北大西洋条約機構(NATO)創立50周年を祝う1週間前にワシントン入りした欧州のリーダーたちであったろう。
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